江戸クラブにきた動機は?

 出版の仕事をしていますが、4年ほど前、営業に異動なったとき、大勢の人の前で話す機会が出てきました。

 ある日、書店で著者のトークイベントが行われるときに、社を代表して挨拶をすることになったんです。挨拶と言っても、「本日はご多忙のところをお集まりいただき……」という決まり文句の二言三言だけ。ところが、参加者40名を前にして立ったとき、頭が真っ白になってしまいました……。何も言えないまま30秒ぐらい経ったでしょうか、会場がざわめき始めた頃に、絞り出すように「お願いします」とだけ言って、逃げるようにその場から立ち去りました。

 もともとあがり症で、人前で話すことを避けてきたんですが、社会に出れば、いつの間にか自然と話せるようになるものだと思っていました。ところが違ったんですね。大恥をかいてようやく、訓練が必要だということに気づけました。そうして出合ったのが、江戸トーストマスターズクラブでした。

初めて見学したときの印象は?

 会場に入るまでは戦々恐々としていましたが、最初に目のあったM瀨さんが隣の席を勧めてくれました。なごやかな雰囲気の中、いろいろな人が声をかけてくれて、見学者への気配りを感じました。
 例会自体は、これまで経験したことがないほど中身の濃いものでした。中でも準備スピーチは圧巻でした。それまで、私がイメージしていたスピーチは「青年の主張」のように、演台の前で会場をまっすぐ見て話すというもの。ところが、スピーチが始まってみると、会場に語りかけたり、演台を離れて歩き回ったり、いろいろな資料を見せたり、マジックが始まったり(笑)、何かのショーですか、といった内容で、グイグイ引き込まれました。

 後から知ったんですが、そのときの発表者はベテランばかりだったんですね。そんな人たちも、入会当初は全然うまく話せなくて、通い続けるうちに少しずつ話せるようになったと教えてくれました。ついていけるか心配にもなりましたが、場数をこなせばこうなれるのかと、勇気をもらいました。

入会の決め手は?

 やはり場数をこなせるということです。何万円もするスピーチのセミナーがありますよね、一日で話せるようになります、っていう。

 確かに私もすぐにでも上手く話せるようになりたかったけど、冷静に考えれば、そんなうまい話はないですよ。地道にやるしかないという覚悟はありました。であれば、お値打ちな会費で、定期的にスピーチができる、しかも目標にしたい人が多いこの場所を選ぶのに迷いはありませんでした。

実際、入会してみてどうか?

 最初に準備スピーチをしたときの緊張感は今でも覚えています。ただ、皆さん温かいんですよ。大きな拍手だったり、傾聴姿勢だったり、応援してくれていることが肌から伝わってきました。今思えば、それって皆さん通っている道なんですよね。環境は違うものの、スピーチがうまくなりたいという共通の動機で入会しているので、新会員の気持ちがよくわかる。新しい仲間を自然と応援したくなるわけです。
 私は最初、自分のためにという気持ちばかりでしたが、すぐに考えが変わりました。一緒に成長していきたいと思える仲間の存在は、クラブ活動を続けていく上で大きなモチベーションになっています。いまだに「失敗した!」と反省することも多いですが、皆さん温かい目で見てくれるし、失敗できる場があるのも本当に貴重ですよ。

今と今後について。

 現在、会長としてクラブ運営にも関わっています。トーストマスターズは、スピーチだけでなく、リーダーシップを学ぶ場でもあります。当初は、自分が話すスピーチを突き詰めることが、成長の近道だと思っていました。ただ、江戸クラブに通い続けて、自分を必要としてくれる誰かのために頑張ったときこそ、より成長できていると実感しています。見返りを求めなくても、誰かのために尽くすことが自分の成長に繋がる。トーストマスターズは本当によくできたシステムだと思います。
 それに、人前で話せる能力が自信にも繋がることは、思いがけない副産物でした。通える機会があるうちは、慢心せずに取り組んでいくつもりです。

見学者を迷っている人へ。

 実は、江戸クラブで磨いたスピーチ術が実際の仕事に役立っているのか、悩んだこともありました。なぜなら、スピーチと私の仕事では、使う話法がまったく違うものだからです。ただ、江戸クラブに入る前と後とでは、仕事で企画が通った数、営業の成果が目に見えて変わりました。

 「見つめる鍋は煮えない」という言葉があります。鍋が煮えたかどうかを確認するため蓋を開けてしまうと、かえって煮えるのが遅くなってしまうわけですよね。スピーチを学ぶのも一緒だと思いました。これが仕事にどう活かせるだろう、と効果ばかりを考えがちでした。ただ、目先のことを考えず、与えられた課題を愚直にクリアしていくことで、いつの間にか成果に繋がっていたというのが実感です。真面目に取り組めば、必ず成果はついてきますよ。

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山田さん

出版業

2012年4月入会

 

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~渋谷を中心に活動しています~